離婚その2
 アメリカで離婚をする際、自分自身で整理しておかなければならない事項について「子供の養育権や裁判費用」を中心に、その概要をご紹介します。

 前回に引き続き、アメリカで離婚をする際、自分自身で整理しなければならない事項についてお話します。
 前号では、「子供の養育権や裁判費用」を中心にお話しました。今回では、「妻側の立場」から離婚を考えて見ます。

 多くの駐在員の奥様は外で仕事を持たず、その代わり家事全般をこなし、家にいるという場合が多いのではないでしょうか。
 働いて、家族のために収入を得ているのは、夫のみであるという場合です。
 このような家族の構造のために、離婚手続きの際、奥様側が、経済的に不利になりがちです。
 アメリカの裁判所と法制度は、妻側のこういった状況に理解を示し、妻側が経済的な難局を切り抜けられるよう、さまざまな方法や取り決めを採用しています。
 基本的に、裁判所は、子供の養育費、生活費、妻側に発生した弁護士費用等を、夫側に支払うよう命じられます。
 夫側からしっかりと支払をしてもらうには、どうすればいいのか。ここにいくつか注意事項を挙げます。
 逆に奥様側はこれらの諸注意に従って行動してみてください。
  • まず、最初にしなければならないことは、なるべく早い時期に弁護士と話し合うことです。
  •  裁判所に、離婚手続きに関して子供の養育費や生活費、妻側の弁護士費用等を裁定してもらうための申し立てをする前に、弁護士と話をするべきです。
     これが怠ってしまうと、夫側に妥当な養育費の額を決める時間的余裕を与えてしまうことになります。
     夫側が決めた養育費額は、往々にして、妻側が要求する最低のレベルであることが多く、また、妻自身の将来のための経済的負担について交渉する余地を残さないことが多いのです。

  • 他に選択の余地がない場合を除いては、妻の生活費を含む養育費についての命令に合意してはいけません。
  •  裁判所に子供の養育費と妻の生活費の両方を要求するのが、よい方法です。
     そうすれば、妻側の要求額の大部分を夫側に支払わせることができる場合が多いのです。

  • 訴訟費用・弁護士費用について、全訴訟を賄うような、総括の定額金を受け取るような命令に合意してはいけません。
  •  たとえ夫側から相当大きな額が提示されたとしても、です。
     訴訟を終えるのに、どれだけの時間や労力がかかるか 誰にもわからないのです。
     夫から支払われた額が底をついた時、妻側の弁護士はそれ以上努力して訴訟を継続しようとしないかもしれません。

  • 訴訟を長引かせることは、妻の側にとって有利に働きます。
  •  訴訟は、夫の側に多大な時間的、労力的、経済的負担を強いるからです。
     夫が、経済的に 訴訟を継続するのが難しい状態になると、妻側に有利な和解案に持ち込むことが容易になります。
     離婚訴訟についての方針を決める前に 自分の状況を詳細に分析するため、弁護士とまずお話されることをお勧めします。
     個々のケースは異なりますし、また、裁判で要求されるものも、その時々で異なります。
     さまざまな要因を考慮し方針を決めていかなければなりません。
離婚その1